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世界が注目した新配列鍵盤、
ムトウ式クロマチックキーボード

クロマチックキーボード

半音配列+全音配列の鍵盤

ムトウ音楽メソッドが新しく開発したものは、ムトウ記譜法(クロマチックノーテーション)だけではありません。
ムトウ式クロマチックキーボード(ラピアン、ホールトーン、クロマトーン)の最大の特徴でもある、全く新しいスタイル(半音配列+全音配列の鍵盤)のキーボードこそが、ムトウ式クロマチックキーボードの魅力でしょう。音楽 をさらに身近にするためのいろんな構造が、このキーボードには隠されています。

クロマチックキーボードの鍵盤配列の仕組み

クロマトーンの鍵盤配列の仕組み
※全音音階鍵盤は「Wholetone Revolution」では6列、
「CHROMATONE CT-312」では5列となっています。

ムトウ音楽メソッドでは、キーボードとムトウ音楽記譜法(=クロマチックノーテーション)がぴったりマッチして、そのままリンク。だからとってもかんたんです。

まずはキーボードから見てみましょう。たった2種類のコードを覚えるだけでほとんどの曲の伴奏が可能なムトウ音楽メソッド。ここでは再び3つのコード、「C」、「C♯(またはD♭)」の<メジャーコード>と「Dm」の<マイナーコード>を例に、クロマチックシステム(ムトウ音楽メソッド)がいかにかんたんで画期的かを検証します。以下の図を参照してみましょう。

ピアノとクロマトーンの違い
「Dm」はマイナーコードですので「C」「C#またはD♭」のメジャーコードとは
コードの種類が違うのに、ピアノ鍵盤では「C」を平行移動させたかのような押さえ方になってしまっています。

① ピアノ鍵盤

ピアノでメジャーコードとマイナーコードをマスターしようとすると、24個の調(長調12個、短調12個)の中で、ちがった指づかいすべてを覚えなければなりません。むずかしすぎて、途中であきらめてしまった人はいませんか?

② クロマチック鍵盤

一方クロマトーンでは、メジャーコードをたった1つ覚えてしまえば、あとは平行移動するだけ。マイナーコードでも同じです。1つのフォームをマスターすれば、そのままの指使いをずらすだけ。簡単に弾けるのです。

黒鍵がない!

 音楽を自由に演奏するために、最も重要なのは移調ができるかどうか。しかし、ピアノは調によって弾き方がまったく異なるため、移調をマスターするには12の調すべての弾き方を覚える必要がありました。移調が自由に、しかも簡単にできるピアノを作れないだろうか?それが、ムトウ式クロマチックキーボード開発のきっかけでした。

ピアノでの移調を難しくさせている原因は、黒鍵が存在することに尽きます。そこで私たちは黒鍵・白鍵の区別をなくした新配列キーボード《ムトウ式クロマチックキーボード》を発案しました。しかしムトウ式クロマチックキーボード(ホールトーン)にはまったく同じ丸形の全音鍵盤が6列、その上にはくし状の半音鍵盤が並んでいます。全音鍵盤は1列ごとに横にずれて配置されているため、横に弾いていくと全音階、斜めに弾いていくと半音階になるという仕組みです。

ムトウ式クロマチックキーボードは一見するとパソコンのキーボードのようで、楽器とは思えないかもしれません。このインターフェイスは人間工学に基づいて開発されたもので、無理なく演奏できるように細部まで計算されています。たとえばピアノの場合、1オクターブを弾くのに指をのばしたり、手を動かしたりしなければなりません。曲によっては指が届かないこともあり、身体的な問題が演奏に大きく響いてしまいます。ムトウ式クロマチックキーボードは人間工学に基づき、最小限の力で弾けるようにキー形状を工夫しました。ピアノのように奥が重いとか、狭いくて弾きづらいといったことがなく、無理なく自在な演奏を可能にしました。

ムトウ式クロマチックキーボードの原型となるキーボード《ラピアン》は1980年代後半に完成し、1987年に開催された世界発明EXPOでグランプリを獲得。画期的な楽器として大きな話題となり、世界中から取材や問い合わせが殺到しました。当時はまだ手作りの試作の段階であったことや、今のようにインターネットなどで情報が行き渡らなかったことで、90年代はさらなる改良に専念し、次期モデルへの準備を整えました。

そうして2001年に満を持して発表されたのが、「全音配列+半音配列」を採用した《ホールトーン》です。ホールトーンはプロ向けに開発された楽器で、通常(61鍵盤)のキーボードの幅にグランドピアノと同じ88鍵がおさまっています。さらに2007年9月にはオールインワンタイプの《クロマトーン》の一般発売を開始しました。

ピアノは移調の難しい楽器である

「ああ、黒鍵さえなかったら・・・」

音楽を志す人なら、誰でも一度はふれたことのある楽器・ピアノ。歴史を重んじるクラシック界において、ピアノは楽器としての機能そのものより、600年間もの長い間続いてきた歴史から、数ある楽器の中で最も素晴らしい楽器として崇められてきました。しかしその歴史の中で、さまざまな形で改良を試みられてきたという事実を知る人はほとんどいません。なぜ改良を試みる人がいたのか?
それは、ピアノが多くの問題を抱えた不完全な楽器だからなのです。

ピアノの持つ最大の問題点は「黒と白を差別すること」にあります。
ピアノは12平均律と呼ばれる、1オクターブを12等分し、隣同士の音の距離(音程)を半音に均等化した調律方法に基づいて作られた楽器です。(下図参照)

12平均律

つまり、1オクターブには半音ずつ上っていく12段の階段があるということです。
この12平均律の誕生によって、同じ曲を12通りの調で弾くことができたり、曲の途中で転調できるようになりました。それは音楽家や作曲家にとって、音楽の可能性を無限に広げる画期的な方法だったのです。(下図参照)

1オクターブは半音階の階段

しかし・・・
ピアノは、音楽を自由にする「移調・転調」に適さない楽器なのです

ピアノではハ長調、つまり白鍵でドレミファソラシと弾くぶんには簡単ですが、(下図参照)

ピアノ鍵盤

他の調で演奏しようとすると途端に難解になります。
調が変わると不規則に黒鍵が入り交じってしまい、音と音の距離感がわからず頭が混乱してくるからなのです。同じ曲にもかかわらず、弾き方が調によってすべて違うため、ピアノを弾きこなすためには12通りの弾き方を覚える必要がある。黒鍵が入ると急に難しく感じるのはそのせいですね。黒鍵さえなければ…と願った人はたくさんいるでしょう。(下図参照)

ピアノ鍵盤

結局ピアノはハ長調を簡単に弾くための固定ド楽器であって、12の調すべてを自在に弾くことのできる万能な楽器ではないのです。この「移調の難しさ」を克服するために、多くの音楽家たちは長い時間をかけて血のにじむようなトレーニングを強いられてきました。それがいつしか、「大変な特訓をしてピアノが弾きこなせるようになった人はすごい!」と羨望のまなざしで見つめられることになり、ひいては「音楽は難しい」という誤解が広まる原因となっているのです。

また1オクターブにはド、ド♯(またはレ♭)、レ、レ♯(またはミ♭)、ミ、ファ、ファ♯(またはソ♭)、ソ、ソ♯(またはラ♭)、ラ、ラ♯(またはシ♭)、シという12の音がありますが、たとえば「ド♯はドに付随した音」という印象はありませんか?(下図参照)

黒鍵の呼び名

ピアノの鍵盤を見ても、黒い色の鍵盤はどこか居場所がないように思えるでしょう。
本来12の音には優劣はなく、それぞれが独立した音です。しかしピアノに白い鍵盤と黒い鍵盤があるために、音と音の距離がひとめでわかりづらく、頭の中は混乱するばかり。(下図参照)

矛盾を生むピアノ黒鍵
a〜b〜c は同じ音程(距離)なのにピアノ鍵盤上では、弾く距離間隔が全く違って見えます

それを繰り返しているうちに、いつしか
「黒鍵が入る曲は難しい」「ピアノは難しい」という意識を生んでいるのです。